松重豊『空洞のなかみ』(毎日新聞出版、2020)

クリッピングから
毎日新聞2020年10月24日朝刊
「今週の本棚」 松重豊(まつしげ ゆたか)さん
『空洞のなかみ』(毎日新聞出版・1650円)


空洞のなかみ

空洞のなかみ


エッセイを書く役者は多いけれど、
短編小説に挑む人は珍しい。
タイトルもちょっと気になりました。


  テレビドラマや映画でおなじみの名俳優による初の著書。
  『サンデー毎日』に連載したエッセーのほか、
  書き下ろしの短編小説12編を収録した。
  フィクションの作品は、新型コロナウイルスの感染拡大で撮影が滞り、
  家にいるのを余儀なくされる中、
  「こんな時でもなければ、書くことはない」と思い立った。


  短編を貫く題は「愚者譫言(ぐしゃのうわごと)」に。
  仕事をしないでいると「自分は役者とも言えない、何者かも分からない。
  ああ、『愚か者』だなと思って」。


  京都で撮影に臨む役者の「私」は、
  短いせりふをなぜか言えず、悩みを深める中、
  麗しい国宝の弥勒菩薩(みろくぼさつ)と出会い、変化が訪れる。
  「役者という生き物だったのが、
  現場がなくなり、空っぽになってしまった。
  その違和感を物語に込めた」。
  (略)


  作家の村上龍さん、村上春樹さんの
  「ダブル村上」の小説に親しんだ世代。
  夢中になって読んだ彼らの本と自身の本が
  「同じ店の同じジャンルの棚に並ぶ可能性があると想像したら、
  これ以上の喜びはないですね」。
  (略)

                    (文・屋代尚則/写真・丸山博)


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図書館で探して、予約してみようかな。