若者に期待したい。毎日1時間でも書物に向き合う時間を(亮)

クリッピングから
藤原書店PR誌「機」2024年4月号(No.385)



巻末の「出版随想」から引用する。
(数字表記を漢字からアラビア数字に変更した)


  ▶現在、本を生業としている業界が立ち行かなくなっている。
  売上げを見ても、四半世紀前の最盛期の40%近くに落ち込み、
  書店数も、2分の1に減少している。
  教養書で、初版3000部が1500部に、
  学術書でも1000部が500部といった具合いだ。
  現今の日本の経済状態では、容易に定価を上げることはできず、
  売上げがジリ貧状態を続けている。


  ▶小社も "少部数高定価” 路線で、
  ロングセラーを軸に出版活動を続けてきたが、
  この10年、5000円以上の高定価本にブレーキがかかってきた。
  その理由は、読書人の高齢化や
  購買者の経済事情が許さなくなったなど色々考えられる。
  「知の再生産」が段々出来なくなってきたということだ。
  かつては、大新聞等で書評されると、本の動きに大きな影響があったが、
  現在では、それもあまり期待できない。(略)


  ▶(略)現状を見ていると、
  この国は滅亡する道を辿っていると思わざるをえない。(略)
  ▶若者に期待したい。
  自分の興味がある分野の何でもいい。
  毎日1時間でも、書物に向き合う時間を作ってもらいたい。
  1年続ければかなりの成果は出るはずだ。
  数年続けたらきっと何かを摑める、と思う。

                        (亮)

                        (p.32)