ツポレフ114を眺めて、記憶を呼び起こす(佐藤優)

クリッピングから
朝日新聞2020年5月1日朝刊
佐藤優さん、中村うさぎさんの同志社カフカ講座(第2期)
コロナウイルス感染拡大の影響で開講未定になっています。
佐藤さんの近況を朝日の記事で見つけました。


  リレーおぴにおん 私のおこもり術(1)
  人との温かな記憶 想起する
  
    作家 佐藤優(さとう まさる)さん


  学者や政治家に会って意見を交換し、
  編集者と打ち合わせをして、
  週末は京都の大学に行って講義をする……。
  少し前まで僕は、毎日どこかに出かける生活をしていました。


  新型コロナウイルスの感染が広がって以降は、
  外にはほとんど出ていません。
  持病があるので、感染してしまったら命の危険があると思っています。
  ただ、外出できないこと自体にはストレスはありません。
  比較の基準が普通の人たちとは違うからでしょうね。
  (略)


  外出できないという環境は、まだ長く続く可能性があります。
  大量消費を通じて喜びを得るという生き方は見直され、
  人々が内面に向かう方向へ文化が変わるのではないでしょうか。
  「楽しみ」の中味が変わるのです。


  僕の仕事は今、在宅でのテレワークに切り替わっています。
  移動時間がなくなった分、実は生産性が上がりました。
  気分を変えたくなったときには、模型を眺めたりしています。
  ツポレフ114という旅客機の模型です。


  高校生のとき、旅先にモスクワ郊外の空港で
  この飛行機をうれしそうに眺めていたら、
  監視係の女性がこっそり
  「写真を撮っていいよ」と言ってくれたことがあります。
  モノと結びついた、人との間の温かい記憶。
  こんなことを思い出す楽しみ方もあるのです。


  人間の隣には人間がいる。
  そんな記憶を呼び起こしながら、
  人と会えない時間を明るく過ごそうとしています。

                  (聞き手 編集委員塩倉裕


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「同志社講座」「東京大地塾」(新党大地勉強会)などで
再びお目にかかれる日を楽しみに、
佐藤さんにこれまで教わってきた記憶を、
僕も精一杯呼び起こすことにしましょう。
佐藤さんの近況を文字と写真で伝えてくれた、
インタビュー記事でした。


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(ツポレフ114: Wikipediaより引用)