アンディ・グローブと格闘する夏



アンディ・グローブ(上)ー修羅場がつくった経営の巨人」
ダイヤモンド社)を読み終える。
ハーバード・ビジネススクールのリチャード・S・テドロー教授が
3年間、講義など他のいっさいの仕事をせずに取り組んだ労作である。
有給休暇扱いにしてテドローにそれを許した学長もただ者ではない。
アメリカ知的社会のこうした懐の深さに
僕は敬意を払うし憧れもする。
アンディ・グロープは
マイクロプロセッサのトップ企業インテルの三番目の社員。
後にCEO、会長まで務めた人である。


こうした骨のある本を読むには、
真夏の日、家にこもってがっぷり四つに取り組むのがいい。
都心の日中は35℃まで気温が上がっている。
ちょっとそこまで出かけるだけで頭がクラクラしてくる。
こんな日こそ勉強部屋で活字を追いかけ
知的格闘技に挑もうではないか。


インテルの屋台骨を揺るがしかねない決断の時が
少なくとも二度あった。
メモリ事業を撤退して
マイクロプロセッサ事業に専念することを決断したとき。
CISCRISC、二つの技術のどちらを採用し、
どちらから撤退するかを決断したとき。
そうした場面に遭遇したとき、
アンディがどう考え、どう行動したかを知ることは
僕にとってスリリングなことであった。


無論、歴史を後ろ向きに見るのだから
2008年8月15日現在の答えは既に出ている。
あくまで未来が不確かであった
過去のある時点でのアンディの思考や行動を眺め分析し、
自分なりの解答を出してみる作業である。
まさにベルリンスクールで学んだ手法のひとつである。


ポスト・イット・フラッグを使って
あとでもう一度重要項目に戻れるようにしておく。
378ページを読み終え、いよいよ下巻に向かう。
まだまだ暑い日が続く。