「おまえは何者だ」とカンヌに問われる


審査をした訳でも
セミナーのスピーカーをした訳でもないのに
なぜかヘトヘトに疲れるのがカンヌである。
「おまえは何者だ。おまえに何ができるのだ」
四六時中問われているようで、僕はなんだか面白くない。
前半元気に飛ばしていた若者たちも
中盤を過ぎ終盤に入ると息切れが目立ち出す。



   (日本にはない平ぺったいカタチの桃が面白い=写真右下)


スケジュールとにらめっこしながら、
思い切って一日の半分をオフに切り替えてみる。
僕の場合は島で遊んだり、
わざわざ他の街に出かけることはしない。
ミルクたっぷりのカフェ・オ・レを宿でお代わりして
日本から持ってきた本の続きを読む。
両替に出かけたついでに近所の朝市を覗く。



市場で同僚Sさんとバッタリ会った。
「なんかきょうはショートリストを見る元気がなくて
 街をブラブラしているんです」
今年デザインカテゴリーの審査員を務め、
人一倍研究熱心で知られるSさんでさえそうなのだ。
「Me, too!」と僕は明るく答える。
Sさんと別れて、採れたて苺を一箱、3.95€で買う。



きょうもう一日頑張って、
翌日には飛行機に乗って、
家に帰ったらハエタロウ(と同居人)の面倒を見るとしよう。
長く留守をしたからどちらも機嫌が悪いに違いない。