ちいちゃんのいる猫バァ

yukionakayama2007-09-07

ときどきおじゃまする築地の居酒屋
「えん弥」さんは我々の間では
「猫バァ」と呼ばれている。
粋なおかみさんとともに、
推定年齢25-6歳のメス猫、ちいちゃんが
店を守っているからだ。
ちいちゃんは幼い頃は野良で、
酔客にいじめられたり、
食料を確保するのにずいぶん苦労を重ねていた。
あるとき、おかみさんと契約を交わした。
食事と寝床をもらう代わりに
近所の見回りから戻ったときは、
おかみさんに手足の土をふいてもらって
それからねぐらに帰ることにした。
以来、おかみさんと同居することになり、
寝る前にはひとわたりうなって
ネズミたちを追っ払う仕事も引き受けた。
ちいちゃんはへたな客よか舌が肥えていて、
まずい魚はいっさい口にしない。
したがって「猫バァ」では、
ちいちゃんが味見した魚は
間違いのない上等な品であることが保証される。
僕たちは仕事の日々の気分転換に
ときおり「猫バァ」に出かける。
そこには魚河岸のマイナス40℃の冷凍室で働くNさん、
新橋の芸者さんYちゃん、
宗教にはまっていてマッサージが得意なSさんらが現れ、
日頃おつきあいできない人たちと会話が弾む。
築地は僕たちの憩いの場であり、
もうひとつの世間なのだ。
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