未使用のシニア資源

出向元の先輩が九州に赴任することになり
かつて同じ部門で仕事をしていた人たちが集まった。
50代の僕が最年少で最長老は78歳。
みなさん、かくしゃくたるものである。
まるで近未来の高年齢社会を
象徴するような集いとなった。
退職金と年金を手にした先輩たちはマイペースである。
大学でパートタイムで教壇に立つ人もいれば
南アフリカにデジタル一眼を抱え
撮影旅行に出かける人もいる。
年齢なりにどこか具合の悪いところを抱えているのは
やむを得ないことだが、みなさんそれなりに
人生をエンジョイしている様子がうかがえる。
先輩たちは「この頃のテレビはつまらん。
民放は観る気がしない。観るならNHKBBC
もしくはディスカバリーだな」とのたまう。
「広告は番組に輪をかけてさらにつまらんっ!」
酔うほどにお叱りを受ける。
みなさん、かつてラジオ広告の
プロフェッショナルだった人たちばかりなのだ。
耳が痛いが、なんせ久方ぶりの最年少、
よけいな反論をせず、
「良薬耳に苦し」と小さくつぶやき傾聴する。
しかし、このシニアパワー、
もっと有効に活かせないものかな。
確かに口うるさいジジイぞろいだが(失礼)、
知性も経験もあるし、好奇心も衰えていない。
地域社会ではみなさん
いまだにスタープレイヤーのようなのだ。
ここに未使用のシニア資源があるような気がした。
(写真は僕が駆け出しのときから
 上司として面倒を見てくださった土井暁さん。
 細かい野暮なことを言わないのは大陸生まれのせいか。
 知る人ぞ知るラジオCM界の巨匠だった方である)