この頃の中学高校生活

連休がいいのは普段できないことができたり、
普段会えない人に会えることだ。
と言ってもこちとら江戸っ子だから
7,500万人が移動するゴールデンウィーク
わざわざ観光地に出かける野暮はしない。
自宅から半径数キロの距離、
せいぜい自転車で行ける範囲で過ごすのが
習いである。
昨夜はご近所に三軒ある銭湯の一軒で
土曜日スペシャルの玉露カテキン風呂につかった後、
以前借りていた家の大家の長男Tくんと
ご飯を食べていた。
彼が中学生のときからの付き合いで
我が家にも親父、弟と一緒に
よく晩飯を食べに来ていた。
まったくどちらが大家でどちらが店子か
分かったものではない。
Tくんは35歳になり、
渋谷にある中高一貫教育の学校で
国語を教えている。
40人のクラスの担任で、
学校に行く毎日が楽しくて仕方ないらしい。
お金をいただく仕事なのに
こんなにストレスがなくていいのかと言っている。
クラスの生徒はもちろん、
学年200人の生徒のすべての顔と名前を覚えている。
さらにはひとりひとりの親がどんな親かも
Tくんの頭にしっかり入っている。
学生のときはどちらかと言えば
フワフワ頼りない感じだったが
5年間の社会生活が、風貌はともかく、
人間を鍛えたようだった。
Tくんに我が家の年賀状のイラストレーションを
頼むようになって早数年。
お礼に彼が好きな近所の店で
酒付きメシをご馳走することになっている。
昨夜はその約束を果たしたのだった。
学校や教育が問題とされるこの頃だが、
Tくんのような先生が身近にいるのは
なんだか希望の持てることに思える。
話を聴いていると、
近頃の中学生、高校生のことが
テレビや雑誌とは違う肌触りで伝わってくる。
ふむふむ、そうか、近頃の学校はそういう感じなんだね。
普段の生活とは違って、
こうした四分休符や八分休符のような時間を持てるのが、
大型連休のいいところなのだ。