猫魔術のサムライ

名古屋に住む出向元の同僚Kさんが
写真を送ってきてくれました。
タイトルは「同じ羽虫を注視する猫ども」です。
Kさんの猫好きときたら、
それはもう筋金入りです。
猫どももそれを知っています。
僕たちがときどきおじゃまする築地の猫バァに
ちいちゃんという猫がいて
人間の年齢に換算するととっくに100歳を越えています。
ちいちゃんは野良だった頃が長く、
酔っぱらいにけとばされたり
ずいぶんひどい目にあってきたので
およそ男という生き物を信頼していませんでした。
猫バァで暮らすようになっても
おかみさん始め女性たちになつくことはあっても
男性客には愛想のひとつもありません。
ところが、ある日、僕たちが
Kさんをこの猫バァに連れていくと、
いつの間にやらちいちゃんがKさんのひざの上で
すっかりくつろいでいます。
これにはちいちゃんと長く暮らしてきたおかみさんも
びっくりです。
おかげで、いまではちいちゃんは
僕がひざの上に抱いても嫌がらなくなりました。
余得ですね。
それもこれもKさんの猫魔術が効いたからなのです。
Kさんはコピーライターで
いまでは40数人の部下を率いる局長ですが、
これからも創ることをやめたくないと言っています。
写真のタイトルもKさんの筆になるものです。
僕が敬愛するサムライです。