来ましたっ!おとぼけくん

おとぼけくんが登場しなくなって
もう何ヶ月になるだろう。
と思っていたら、同居人が僕に言う。
「タイヘンっ!おとぼけくんが来てる!」。
おうおう、どうしてたんだよ、おとぼけくん。
猫缶特大サイズ1ヶ、普通サイズ1ヶを食べ終えると
いつものように悠然と去って行った。
窮屈なピンクの首輪をつけられて、
首のあたりが赤ムケになっていたので
それも同居人が取ってやった。
この首輪をつけた家で
ある程度定期的に
ごはんをもらっているのかもしれない。
おとぼけくんのようなフリーランスの猫に
首輪をつけてしまうと飼い猫だと思われて
かえって食にありつけなくなることがある。
中途半端な同情は
フリーランスには迷惑であることを
僕たちは知らなければいけないね。
ともあれ、お腹が空いたときに
あそこに行けばメシにありつけるかもしれないと
おとぼけくんの記憶にあったことはうれしい。
できれば、ちょくちょく顔を見せてもらいたいもんだ。
それにしてもおとぼけくんが来ないか
いつも見張っている同居人は
こうしたSOSを見逃さない。
そのあたりが
フリーランスと信頼関係を築ける秘密かもしれないね。