伊坂幸太郎の4冊目「死神の精度」。
刊行順で8作目。
2003年から2005年にかけて
死神・千葉の視点で描いた6つの短編である。
第57回日本推理作家協会賞短編部門受賞。
「死んでも死にきれない」死神の私からすれば、
死んだら死ぬに決まっているので、
その表現は可笑しかった。」(p.233)
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02/08
- メディア: 文庫
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思いがけないものを発見することがあるように、
こどもの質問がときに本質を突き
おとなたちを絶句させることがあるように、
死神・千葉は自分の疑問や考えを口にする。
「非日常な視点からものを見ることによって、
普通のものを見慣れない、
奇妙なものにしてしまうという手法」
をロシア・フォルマリストは「異化」効果と呼ぶ、
と沼野充義が文庫の解説で紹介している(p.341)。
道ばたの石ころが単なる石ころに見えなくなる視点、意識
と言い換えてもいいだろう。
僕は伊坂の会話のセンスが気に入っていて、
村上春樹と比べるとユーモアの含有率がやや高く、
禁欲度がかなり低いあたりが好みである。
今回のミュンヘン出張のお供は
常連「ゴルゴ13」と「死神の精度」。
それぞれの物語に頻繁に登場する死が、
不思議に肩の凝りをほぐしてくれた。
死は生に光を当てる。