人間相手ではない戦争


これは戦争であると思った。
日本は66年間、戦争をしてこなかった。
先週金曜から地震津波原子力発電所の事故が続き、
1万人以上の死者・行方不明者と40万人以上の避難者が出た。
放射性物質の拡散による空気、水、土の汚染も心配だ。
電気の不足は都市の日常生活を直撃し困難をもたらした。
まるで目に見えぬなにかの意志によって
国全体が波状的に攻撃されているような感覚だ。



今度の戦争は、
外国人を殺したり、外国人に殺されたりする戦争ではない。
天災によって自然汚染と都市機能の破壊が連鎖して起きた、
人間相手ではない戦争である。
復興まで数ヶ月、数年と影響が長引くことになるだろう。



かすかな希望の光は、
こうした危機を同時体験することで
老若男女にこれまでなかった不思議な一体感が
あちらこちらで生まれていることだ。
その光は海外の友人たちからも届いている。
その希望の光の集積を僕は過小評価したくないと思う。



政治、会社、上司、先生、親などに不平不満を言うのでなく、
自分になにができるか、人の痛みを分かち合えるか、
真摯に立ち向かおうとする人々の動きが見える。
この困難を乗り切る努力をみなで続けることが
日本の再興、再生につながると信じたい。
あのときの大地震が日本を蘇らせたと
海外の友人たちとともに、みなで振り返る日を迎えたい。
このまま沈み滅んでたまるか。


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被災地で復旧に向けて日々働いているみなさん、
とりわけ原子力発電所の炉心冷却のために身の危険を冒しながら
復旧に取り組んでおられる現場スタッフのみなさんに
心より敬意を表します。