地元でお金を使うこと。

yukionakayama2007-08-22

山口瞳さんが以前
「地元の店を育てようと思ったら、
 地元にお金を落とすことが大事だ」
という趣旨のことを書いていた
(文章として正確な引用ではない)。
慧眼だと同感し、以来、僕も心がけている。
地元で頑張っている飲食店、靴屋、スーパーマーケットを
愛用するのはもちろんのこと、
同居人のたばこを買うのも
地元の二軒の酒屋(よろずや)だし、
PASMOのチャージをするのも地元の最寄り駅だ。
どこの駅でチャージしても同じじゃないか
と言うかもしれないが、
きっとそれぞれの駅で販売目標数字があるのだ。
大きな駅でチャージするより、
地元の駅の数字を伸ばしてやりたい。
アルバイトたちが働くコンビニエンスストアには
それほどの愛着はない。
性質上、一過性の仕事だろうし、
彼らも長く地元に貢献したいとは考えてもいないだろう。
必要であれば使うが、お互いドライな関係に変わりない。
僕の住む町の商店街は、
特急を停めることを断った代わりに
全国で初めてスタンプを導入した。
スタンプは金券にも変えられ、
地元の信用金庫に預金できる。
大手スーパーチェーンが入ることを阻止するには、
一軒一軒がスタンプサービスで手を握るのが有効だった。
客はバラエティある専門店を使えるし、
商店街全体が
巨大なデパートやスーパーマーケットのように機能し、
合同で割引ができる。
貯めたポイントはどの店でも使える。
よほどリーダーシップのある切れ者がいたに違いない。
そうした地元の先見と努力のおかげで、
金太郎飴のようにチェーン店が並ぶ沿線の駅前とは
風景がちょっと違う。
家族経営の商店が生き延びる余地が
この町にはまだあるのだ。
そのことを僕は幸福に思う。
僕や同居人の使うお金はたかが知れているが、
それでも地元で使うことを続ければ、
自分たちの地元を守ることができる。
選挙の一票やナショナルトラストの考え方に通じる。
休みとなれば、
ほとんど徒歩と自転車で行かれる地元で暮らし、
不自由を感じることもあまりない。
夏休み、五日目。