陳舜臣「実録アヘン戦争」(中公文庫)を読む。
阿川弘之さんが「文藝春秋」所載
「英国の光と影」と題した文で
会田雄次「アーロン収容所」とともに
紹介していた本だ。
どちらも英国の影を精密に描写した
ノンフィクションである。
- 作者: 陳舜臣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1985/03/10
- メディア: 文庫
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戦争を起こした英国。
その英国に対する満人の国、清の中華思想。
歴史の激動に生きた林則徐という人物。
おもしろくて一気に読んでしまった。
英国が異民族交渉や支配にたけた国であることが
よく分かる。
そのためには屁理屈を論理と言語によって
たくみに武装する技術を活用する。
英国とは英国人とはと
安易に一般化することは危険であるが、
この二冊によって英国の影を理解する
手がかりが得られる。
どんな国家も光だけで構成されるわけもない。
それは歴史が証明している。
ひとつの文章を読むことから派生的に
こうした過去の名作に出会えるとなんともうれしい。
阿川さんに感謝したい。
きっかけがないと
名作もタイトルを知っているだけで
自分で手にして読む機会がない。
「実録アヘン戦争」は
1971年、毎日出版文化賞。
陳舜臣の他の作品も読みたくなった。