チタニウムの研究

昨日に続いて
フィルムとチタニウムのショートリストを
4時間30分かけて見た。
つまり全部で12時間30分ですね。
朝、会場に向かう道で
古川裕也さんを見かけたので、
「少年!」と二度声をかけたがまったく振り向かない。
少年は古川さんのかつてのニックネームなのだが
いまでは誰もそう呼ばない。
僕の出向元の会社の若者たちなど
「古川さんを少年と呼ぶのは
 どういう意味があるんですか?」
と真顔で聞くから返事に窮する。
古川さんにもかつては紅顔の美少年だった時代がある。
せっかくカンヌに来ているのだから
僕はサービスで呼んであげているのだ。
「ふっるっかっわっ少年っ!」。
もう一度大きな声で呼ぶとようやく振り向く。
「最近、僕、耳が遠いのよ」。
耳が遠い男を普通は誰も少年とは呼ばない。
古川少年は老年になっても
チタニウムライオンを取るには
どんなビデオが有効か研究するために早起きしている。
この頃のカンヌは作品だけでは賞を取れない。
ダイレクト、プロモ、アウトドア、サイバー、
そしてきょうのフィルム、チタニウム
すべて審査員に向けたビジュアルプレゼンテーションの
出来不出来が入賞に大きく影響する。
僕も古川少年にならって、
フィルムのショートリストの後、
チタニウムのショートリストをはしごした。
こちらが全部で2時間ちょっと。
さすがに選び抜かれているだけあって見ごたえがある。
チタニウムはまだ固まった賞ではないが、
広告界の未来を提示する役割があるのだ。
チタニウムのグランプリは
アメリカのHBO、インドのLead India、日本のUniqlock
三つ巴になると僕は読む。
当たるか、どうか。
あと数時間すると結果が世界に発信される。