うなぎと床屋



一度行ってみようと思っていた西新橋のうなぎ屋、
吉田屋に行ってきました。
店がこの土地にやってきたのは昭和25年。
以前の店は昭和20年3月10日の東京大空襲で全焼したそうです。



僕の母親の家族もこのときの大空襲でみな死んで、
当時15歳だった母は二人の妹を連れて生きていくことになりました。
学校に通いながら理容師の免許を取り、
親戚の床屋で仕事をして自分の腕で自分と妹を食わせてきたのです。
りっぱな生き方だと僕は思います。
その床屋が僕が現在務める会社の近辺にあったというから
縁とは不思議なものです。



吉田屋の二階で肝焼きでも食べながら
お酒を飲んでみたいなと思います。
人を殺すこともなく、人に殺されることもなく、
昼食や夕食にときおりうなぎを楽しめるくらいの自由と平和を
僕は失いたくありません。