寺田ヒロオ「暗闇五段」(1963-1964)

復刊ブームが有難い。
小学生の頃、夢中で読んだ漫画が復刊リクエストで蘇る。
予約していた完全版が届いた。
寺田ヒロオ「暗闇五段」を読む。




道家の主人公は兄弟子の嫉妬から谷底に突き落とされ、
視力と記憶を失う。
本人の克己心と周囲の人たちの親切で立ち直るまでの物語。
およそ半世紀ぶりに再読したが、
物語はもちろん、一コマ一コマのディテールまで
自分が記憶していることに驚いた。
名作の印象は心の深い所に残っているんですね。



「暗闇五段」を読んでいると、
どん底にまで突き落とされながら
困難にくじけず立ち直っていく姿に
市川猿之助の名作「小栗判官」を思い出す。
あれは猿之助歌舞伎の中でも傑作だった。


寺田ヒロオの作品は
「スポーツマン金太郎」「暗闇五段」に続いて、
「背番号0」の復刊が決まった。
再読できるのが、いまから楽しみだ。


寺田ヒロオの人となりは
市川準の映画「トキワ荘の青春」(1996)に活写されている。
おくりびと」で注目された本木雅弘が寺さん役を好演している。


wikipedia:寺田ヒロオ


wikipedia:市川猿之助_(3代目)


トキワ荘の青春 [VHS]

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