掃除と怪我


夏休み四日目。
普段はできない場所を掃除しようと勉強部屋にとりかかる。
猫が出入りするのであちこちに付いた毛を掃除機で吸い取る。
蔵書はほこりを払ってやり、サイズ別に整理し直す。
積ん読だった本の中で、これは読みたいな、という本が顔を出す。



少し気持ちが停滞しているなと感じたら、
普段気になるけれど掃除していない場所、
例えば冷蔵庫や物置を思い切って整理する。
一段落してみると、混沌とした世界が再整理されたかのように、
気持ちが何百グラムか軽くなるから不思議だ。
夏休みの宿題が片付いた小学生の気分かね。
お試しあれ。



縮こまっていた身体の筋肉を充分に伸ばしてやることや、
深呼吸で肺の奥の空気まで体外に吐き出してやることで
生物はリズムを取り戻す。
掃除はそうした生命活動と似ている。



気持ちを切り替え、
さてビールでも飲もうかと台所に立ったら
うっかりまな板を足に落としてしまった。左足中指を怪我した。
小さな指を一本負傷しただけでも、日常生活は不自由になる。
人間の気持ちや身体というのは実に不思議な構造をしている。



この日は長崎原爆記念日。合掌。