なんだか眠い日々


往きの電車はラッシュ時のダイヤがほぼ復旧していて
たいした混雑もなかった。
地震、徒歩帰宅、原子力発電所事故、計画停電、余震と続いて、
普段とは異なる緊張感で過ごしているせいか、
どうも芯の疲れが抜けない。みんな、そうだろう。
会社の同僚Sさんも「なんだか眠い」と言っている。
分かるなぁ、その感じ。



できるだけ普段と同じように仕事をしようとするが、
テレビのニュースだけはボリュームをやや落としてつけておく。
なにが起きるか分からない。情報の遅れはときに命取りになる。
オフィス内は極力節電し、執務スペースも一部を除いて消灯している。
若手スタッフがいち早く節電ポスターを作ってくれた。
みんな、ソーシャルの意識が高い。


ベルリンやニューヨークの友人たちが心配してメールをくれる。
簡潔にこちらの様子を返信する。
日本と海外では特に原子力発電所の事故と政府の対応について
メディアの報道が大分違う。
海外メディアも現地に特派員を送っている訳ではないだろうから、
受け取る情報の分析が違うのだ。
双方のメディアを参照するのは事実の尻尾をつかむのには
どうやら役に立つ。複眼の思考法だ。



夕方のニュースが東京電力のエリアで停電の恐れがあると伝える。
オフィスに残っているメンバーに帰れる人から帰るように指示。
電車が混雑するだろうし、最悪止まってしまう可能性もある。
ひとわたりみんなに声をかけて自分も帰宅。
行動は迅速であるべし。



幸い今夜は早めに帰宅できた。
家の中に入り、こわごわ最低限の電気だけ使う。
炊飯器の使用も見合わせよう。
おにぎり、いなり寿司、サンドイッチを二人分買ってきた。
ハエタロウが外の段ボールハウスで暖を取るためのカイロが
そこかしこで売り切れで困っていたが、
近所のS屋で棚の下でほこりをかぶっていた品を見つけた。
大事に使えば、春が来るまでは持つだろう。


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警視庁、自衛隊消防庁のみなさん、
放射性物質にさらされる危険の中での注水作業、
ありがとうございます。
どうかご自分たちの生命の危険には細心の注意を払って、
仕事をなさってください。
僕は東京から見守り祈ることしかできませんが、
それでも見守り祈ります。


May Force be with us.