佐藤優『創価学会と平和主義』(2014)


この人が書いたのでなかったら
手にしなかったであろう書名であった。
佐藤優創価学会と平和主義』を読む。


創価学会と平和主義 (朝日新書)

創価学会と平和主義 (朝日新書)


安部内閣閣議決定した集団的自衛権実動に
公明党創価学会が歯止めをかけていた。
にわかにそう言われても僕はまったく実感が持てなかった。
佐藤の分析を順序立てて読んでみる。



分析ソースを明らかにして読者の疑問をほどいていく思考プロセスが、
自らを情報屋と規定する佐藤の流儀だ。
信頼が置ける。



日本の有識者中道左派に投票したい人にとって
マーケットに欲しい商品がない。
公明党にとってそこに躍進のチャンスがある。
佐藤は創価学会公明党を取り巻く現状をそう読み解く。


僕自身はこの一冊を読んだからといって
ただちに創価学会池田大作に対する見方が変わる訳ではない。
けれども、物事を固定的な角度だけで眺めていては
本質を見誤るというのは事実だ。



創価学会について書くのは
職業作家としてマイナス。止めた方がいい」
友人たちの忠告を佐藤は「あとがき」で明らかにしている。
信頼している作家が、日本の政治・宗教におけるタブーのひとつに
取り組んだ成果を読めるのは有難い。


巻末に平成26年7月1日付「閣議決定文書」全文を掲載。
役人の文章は読みづらいが、
こうした基礎資料を読み飛ばしては議論の根拠が揺らぐ。


(文中敬称略)