この人が書いたのでなかったら
手にしなかったであろう書名であった。
佐藤優『創価学会と平和主義』を読む。
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 新書
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安部内閣が閣議決定した集団的自衛権実動に
公明党、創価学会が歯止めをかけていた。
にわかにそう言われても僕はまったく実感が持てなかった。
佐藤の分析を順序立てて読んでみる。
分析ソースを明らかにして読者の疑問をほどいていく思考プロセスが、
自らを情報屋と規定する佐藤の流儀だ。
信頼が置ける。
日本の有識者で中道左派に投票したい人にとって
マーケットに欲しい商品がない。
公明党にとってそこに躍進のチャンスがある。
佐藤は創価学会、公明党を取り巻く現状をそう読み解く。
僕自身はこの一冊を読んだからといって
ただちに創価学会、池田大作に対する見方が変わる訳ではない。
けれども、物事を固定的な角度だけで眺めていては
本質を見誤るというのは事実だ。
「創価学会について書くのは
職業作家としてマイナス。止めた方がいい」
友人たちの忠告を佐藤は「あとがき」で明らかにしている。
信頼している作家が、日本の政治・宗教におけるタブーのひとつに
取り組んだ成果を読めるのは有難い。
巻末に平成26年7月1日付「閣議決定文書」全文を掲載。
役人の文章は読みづらいが、
こうした基礎資料を読み飛ばしては議論の根拠が揺らぐ。
(文中敬称略)