便利って恐ろしい


駅向こうの商店街には
50年以上続く店が並ぶ一角がある。
一番奥に鮮魚「魚卯」、精肉「柳屋」。



「魚卯」で鰻蒲焼きが980円だ。
この大きさで1,000円を切るのは珍しい。
「これ、どこの産?」
尋ねると、小柄な親父が
「静岡製造」
と答える。


製造ねぇ。
鰻って製造するものかねぇ。
中国産を静岡で加工してるってことはないかねぇ。
一瞬迷うが、鰻好きだからつい手が出てしまう。
釣り針のエサで釣られる魚みたいだ。



A亭にいただいた一合飯ごうで雑穀ご飯を炊き、
鰻を乗せてみる。
おお、りっぱな鰻重のできあがりだ。



買い物途中で見かけた
セブンイレブンのポスター。
確かに便利だけど、
これをやられると、本物の「街の本屋」はたまらないなぁ。


僕の暮らす街には三軒本屋があったが、
一軒は既に店をたたんだ。
もう一軒はマンガと文庫の品揃えに特化して生き延びている。
めったに行かない。



時代の変化は
個人店の商売をぶっ壊しながら、突き進んでいく。
自分も便利であることに馴らされてしまうが、
便利って恐ろしいことだなぁ、と思う。