新鋭と巨人


第18回アドフェスト三日目(最終日)。
この日は参加したいセッションが立て続けにあって忙しい。
午前中はアジアの新鋭ディレクターによる
ショートフィルム競演 "Fabulous Four"。
シナリオ選考で選ばれた4人が
会期テーマ "Be Bad(やんちゃでいこうぜ!)"に沿った作品を作る。
とは言っても制作費は出してくれないから、
貯金を下ろしたり務めている会社がバックアップしてくれたり
それぞれ苦労はしている。



   (写真上の右:"Sweet Gang"で優勝したTomoya Kuge)


今年の"Fabulous Four" 選出は以下4名。


  1. Hiroki Odagiri (Fukuoka) "Home Descipline"
  2. Anya Nicola Isabel Zulueta (Manila) "My 2014 Neighbour"
  3. Tomoya Kuge (Tokyo) "Sweet Gang"
  4. Pranav Harihar Sharma (Mumbai) "Watermelon"


二人の少女が隣接するアパートメントの窓から交流を始め、
引っ越しで会えなくなる前に母親の注意を振り切って会いに行く
"My 2014 Neighbor" が僕のグランプリ。
フィルムスクールで学んだマニラのAnyaの作品だ。
今年は僕たちが担当したヤング・ロータス・ワークショップでも
チームマニラが審査員、一般投票でダブル受賞。
マニラの若手の活躍が目立った。



   (写真上、中央右:スピーチを終え降壇するAngel)


アジアの広告クリエーティブの巨人を讃えるLotus Rootsでは
何度も候補に挙がっていたNeil Frenchが受賞。
僕は1998年の第1回アドフェスト(チェンマイ開催)で
審査委員長だったNeilと会話を交わしたことがある。
スペインの病院で療養しているNeilと
表彰直前、ショートメッセージで連絡が取れた
Adobo Magazine編集長Angel Guerreroが感動的なスピーチを行った。
AngelはNeil French Schoolの教え子のひとりで、
フィリピンの広告クリエーティブ界を後押ししている女性ジャーナリストだ。


僕たち広告の世界では巨人の仕事ですら次の世代に伝わらず
消えていくことがほとんどだ。
「いま」だけに囚われすぎず、
「歴史」や「巨人」からも学ぼうという趣旨で始まったLotus Rootsが
アドフェストの財産になりつつあることを僕は悦びたい。