多田正行『思考訓練の場としての英文解釈(3)』(2014)


僕はよほど偏屈な天才が好きらしい。
多田正行著/三村浩一編
『思考訓練の場としての英文解釈 (3)完結編』を買う。
いまは存在しない通信添削会社「オリオン」会員の旬報『南船北馬』に
1969-1972年に連載した多田の原稿が本書の元になっている。



第1集刊行が1973年、第2集が1980年。
いずれもオリオン会員限定販売。
その後、1991年に育文社が一般販売を開始し24年。
第3集の予告はされたものの事情が許さず多田は2013年6月逝去。
もはや完結は不可能かと誰もが思っていた。


4年前にオリオン社元社長・鈴木秀彦の遺族から
58年分のオリオン旬報が育文社代表取締役・山田克己に寄贈された。
散逸していた多田の原稿も見つかった。



完結を待ち望んでいた英語教師三村が山田に編集を申し出て、
2014年9月に出版されたのが本書だ。
偏屈な天才・多田の仕事が英語習得をめざす次世代の若者に
読み継がれることがうれしい。


多田。オリオン社・鈴木。育文社・山田。三村。
半世紀かけた奇跡のリレーに僕は拍手を贈る。


思考訓練の場としての英文解釈 (3)完結編

思考訓練の場としての英文解釈 (3)完結編


(文中敬称略)