百田尚樹『夢を売る男』(2013/2015文庫版)


後半1/3が俄然面白かった。
百田尚樹『夢を売る男』を読む。


夢を売る男 (幻冬舎文庫)

夢を売る男 (幻冬舎文庫)


出版不況が続く中、人の本は読まないが、
自分の本は出版したいと望む人がいる。
丸栄社編集部長・牛河原は客に合わせて融通無碍。
相手の自惚れと勘違いにつけ込んで
ジョイント・プレス(共同出版)を持ちかける。
相手に喜びを与えながら金に換えていくというのが
牛河原の論理だ。



詐欺同然のライバル社が丸栄社の商売を脅かして以降の
牛河原の反応が僕には面白かった。
甘っちょろい夢などとうの昔に信じちゃいないが、
出版人、編集者として矜持をドブに捨てた訳でもない。


テレビ界から出てきた百田だけあって
ドラマ台本と受け止めた方がより楽しめる気が僕はする。
読者の気をそらさない達者な語り口だ。


(文中敬称略)