メグレのパリで人を眺める


いつの頃のパリなんだろう。
景色、人が文字の向こうに浮かんでくる。
ジョルジュ・シムノン『メグレ間違う』
(1976/メグレ警視シリーズ2、萩野弘巳訳)を読む。
同居人の愛読書をシンガポール出張の際に借りて
バッグに忍ばせておいた。



一日の仕事を終えたメグレが居酒屋に立ち寄り、
マールを一杯ひっかけるような細部の描写に目が止まる。
人が生き、暮らし、食べ、飲み、歩き、走り、
ある者は犯罪を犯し、ある者は捜査し謎を解く。
人間の描写こそが物語に読者を引き込むカギになるのは
昔も今も変わらない。



シムノン1903年ベルギー生まれ。
1930年から72年まで
メグレが登場するミステリーを102篇書いている。



パリと江戸。
時代、空間は異なるけれど、
池波正太郎の『鬼平犯科帳』『剣客商売
仕掛人・藤枝梅安』などのシリーズを思い浮かべた。
そう言えば、池波さんもパリを旅する時間を
愛していたっけな。


メグレ間違う (河出文庫)

メグレ間違う (河出文庫)


(文中敬称略)