トマトは最適生存を知っている

yukionakayama2007-06-20

畑のトマトはすくすく育つうちに
密集してジャングルのようになる。
ある程度育ったら、ちょっと勇気が要るのだけど、
もっとも育ちのよい茎だけを残して
他をカットする。
とたんに太陽の光がすみずみまで入ってくる。
切ろうとする茎にも
グリーンの小さな実が既についていて心が痛む。
選別は人間の勝手な理屈か。
でも、躊躇して茎を切らなければ、
結局どれもこれも貧弱な実で終わってしまう。
畑を借り野菜を育てはじめて6年目になる。
よく観察していると、残すべき茎はトマトが自分で決めている。
最適生存のルールが分かっているのはむしろ野菜たちだ。
切った枝は畑の隅に干しておき、ガサが小さくなったら土に混ぜてやる。
微生物に分解され、土壌の養分となり、次の作物が育つのを助ける。
ただ死んでいくのではない。
経済学の本など読まなくたってトマトは「選択と集中」を
とっくに知っている。人間は少しだけ手を貸してやり、
畑がジャングルとなって実が細るのを避けてやればいい。
報酬は、真っ赤に熟れた果実。熟れる寸前を木の上のカラスが狙う。