ベルリンスクール入門(その1)









僕が2006年から2008年まで通った
ベルリンスクール・オブ・クリエーティブ・リーダーシップが
どういう学校だか、いまひとつ伝わっていない、
と同居人に指摘されました。


そうこうしていたら、
事務局副局長(Associate Director)シェリダンと僕の話を
聴いていた同居人が「ベルリンスクールとはなにか」を
自分のブログ(もるとゆらじお)に書きました。
コピーライターの才能とは恐ろしいものです。
クライアントが知っていることを聴き出して、
クライアントより上手に世間に伝えることができるのですから。
この才能を使わない手はありません。
同居人が「もるとゆらじお」に書いた原稿を
ベルリンスクール入門シリーズの第1回として
以下に転載することにしました。
もちろん©同居人として本人の許可を取りました。


僕も一期生同期会プレジデントとして
さぼっているわけにもいかないので、
これまでデジタルノートで断片的に書いてきた
ベルリンスクールの体験を
もう少し体系的俯瞰的に書いてみます。
でも、毎日こればかりだと疲れるし飽きてしまうので(僕が)、
不定期連載にさせてもらいます。
ベルリンスクールに興味のある方、
知らなかったけどおもしろそうだなと直観した人は
どうぞこの連載をお楽しみください。


そんなわけで第1回の執筆は同居人です。
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ベルリンスクールは
「ベルリンスクール オブ クリエイティブリーダーシップ」が
正式名称です。(卒業すると大学院卒になります)


ドイツのアートディレクタークラブの
セバスチャン・ターナーという人が発案した学校で
ふたりの学長がいます。
右脳担当のマイケル・コンラッド
この人は世界のエージェンシーのCEO的存在です。
素晴らしい人です。
左脳担当はピエール・カッセ
この人物については私はよく知りません、ごめんなさい。


ベルリンスクールは18ヶ月の間に6モジュールの単位を習得して
終了します。
1モジュールが2週間開催されます。
開催される都市はベルリン、ロンドン、シカゴ、NY、東京などで
要するに移動教室というか、空飛ぶ大学です。


いま二期生が学んでいます。
一期生15人、二期生25人。
いまのところ、世界各国の現役で活躍している広告屋が生徒で
年齢も幅広く30代〜50代、
広告会社の社長という立場の人も生徒のなかにいます。
いずれは映画や出版をはじめとする異業種からも
生徒が来るようになればと考えているようです。


この学校は
「企業の経営のトップと話ができる人でないと広告のリーダーになれない」
という考えのもとに
リーダーを育成するための学校です。
日本のことを言うならば、企業のトップとエージェンシーのトップが
話せる時代は90年代で終わっており
いまは企業とエージェンシーの言葉が違ってきているのです。
(一方で企業側からはクリエイティビティが失われています)


ベルリンスクールでは経済学も学びますが
教える先生はこんなことを言います。
「私は経済学の単位を君らに取らせようと思って教えているのではない。
 ただ君たちが企業の財務担当と話ができるように教えているのだ」


さらにベルリンスクールでは演劇のワークショップもあります。
これは、「リーダーはいつも注目されていることを意識して
 声もジェスチャーも大きくないと部下とコミュニケーションできない」
という考えによるものだそうです。


非常に実践的です。
生徒はけっこうタイヘンで、モジュール開期中も宿題いっぱいだし
ひとつのモジュールを終えて帰国しても
そのモジュールで学んだことを実践してレポートを書かねばならず
卒業のときは卒論もあります。当然、落第もあります。
すべて英語です。
なにしろ経済学を英語で学ぶわけですから
日常会話ができる程度ではおそらくダメです。


恐ろしい学校ですが、いまもっとも必要なことを
実践的に教えています。


©同居人 ブログ「もるとゆらじお」2008年7月24日より転載
http://nknk.exblog.jp/
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掲載した写真はフランクリン通り15番地にある
ベルリンスクールの看板。
一番下の炎のリングのマークです。
その上の階にドイツアートディクレターズクラブがあります。