帰り道に、ミラタマを


残業して小腹が空いた夜は
近場でササッと腹ごしらえして家路に着く。
西新橋・食事情シリーズ(その17)。
名古屋の人たちがなぜか喜ぶ
あんかけスパゲティ専門店が二軒、
それもごく至近距離にある。
名古屋出身の某上司はこちらに引越ししてきて早々、
その事実を恥ずかしそうに話していたが、
きっと人目を忍んでときどき通っているに違いない。


二軒のうちの一軒、
有名店「PASTA DE COCO」の支店に寄る。
やや濃いめの味付けは名古屋独特で
味噌煮込みうどん、味噌カツ、ひつまぶし、
みなそうである。
そして好きな人は病みつきになる。
僕は中毒とまではいかないが、ときどきここに寄る。



店のおすすめは赤ウインナーと野菜をほどよくのせた「ミラカン」。
ご覧のように半熟玉子を追加すると「ミラタマ」。
タマはタマゴだろうと推察するが、ミラが分からん。ミラノか?
ラカンのカンはさらに分からん。
この一品で920円だから
ファストフードとして安いわけではない。
けれどなにやら名古屋的至福を感じるのはなぜか。


世界に冠たるトヨタ人も
きっとミラカンやらミラタマをときに食べながら
日夜仕事に励んでいるに違いない。
イタリア支社に転勤になっても、
あんかけスパゲティは彼の地にはあるまい。
しかし恐るべきことに
この店ではハウス食品のあんかけレトルトを売っている。
東京で買えるのは「PASTA DE COCO」だけであると自慢しておる。
名古屋人が海外赴任してもこれなら大丈夫である。
世界中どこで暮らしていてもあんかけスパゲティが食べられる。


僕もできたてのアツアツを食べたら、さっさと家に帰ろう。
15分もあればそれなりにお腹が満たされるのが
こうした店のいいところなのだ。