足と胃袋と直観の一人旅


旅でやってきた街と仲良くするには
足と胃袋を使うといい。
とりわけ一人旅では。



僕の場合、名所旧跡にこだわらず
とにかく歩いて歩いて歩いて
人を眺め、店を冷やかし、あたりを観察する。
時分どきになったら気になる店に入り、
メニューを見たり、隣の人が食べている現物を見て注文してみる。
勘が当たったときはとてもうれしい。




(中華料理屋「富満州(フーマンチュー)」の
 海老蒸し餃子(上)と豆腐とナスのあんかけ蒸し(下))


地図やガイドブックは無論使っていいのだが、
既存の情報にとらわれすぎると自分の直観、本能が鈍る。
一人で旅していれば、不安や緊張があって当たり前だ。
油断していたら何が起こるか分からない。
不安や緊張でいつもより余分に働いている直観、本能に
自分の判断を預けてみると、
街は少しずつ素顔を見せてくれる。


と、まぁ、僕は信じているのだ。
別に理論的裏づけがあるわけじゃないから
説得してまで他人に信じてもらおうとは思っていないが。



シドニーの街は、きょうはなんだかあちこちで
人がざわざわしているなぁと感じていたら
北京オリンピック代表選手団の帰国パレードがあるのだ。
日本では人気選手やチームの記者会見はあっても
パレードはとんと記憶にない。

 
(写真のこどもたちも
 どうやらパレード見学に行く途中だったらしい。
 きょうはやけにこうした制服のグループに出会うので
 不思議に思っていたのだ)


オーストラリアがオリンピックで
どの程度の成績を残したか僕は知らないが、
これだけみんながパレードを楽しみにしているのは
オージーはよほど純朴なのか、他に娯楽がないのか。
僕も手旗の国旗をもらった。
国旗で選手たちを歓迎するのは古来どこの国でも変わらない。



明日からAWARDの審査に参加する。
オーストラリアで一番権威がある広告賞で
アジア地域からもゲスト審査員が招待される。
僕もその一人なのだ。
僕が入るチームはTVとシネマの広告を担当する。


審査はいつも楽ではないけれど、
やってみるととても勉強になる。
こういうチャンスをもらったときは
「いい、悪いを見分ける直観がどうかうまく働きますように」
とアイデア・表現を司る神様に祈ることにする。
祈りはもちろん敬虔でなくてはならない。