うらおもて人生録26年


年末だったか年始だったか
同僚のOさんと話していてこの本の話になった。
色川武大『うらおもて人生録』。


  wikipedia:色川武大


昭和58年(1983年)、毎日新聞日曜版に一年間連載され、
その後、単行本となり、いまでは文庫になっている。
僕は初出のときから愛読していた。
Oさんにこの本を推薦しているうちに
久しぶりに再読したくなって文庫を買ってみた。


うらおもて人生録 (新潮文庫)

うらおもて人生録 (新潮文庫)


9勝6敗をめざせ。
小さな負けを進んで拾っておけ。
優等生は敗北を受け入れることに慣れろ。


生きるセオリーとして知らず知らず自分が使ってきた技術が、
実は昔読んだ色川さんの本にその基礎があったことを
再読して確認できた。



30になる前に読んで受け止めていた内容と
それから26年が過ぎ受け止めた内容とは
重なっている部分もあるし、発見もある。
記憶が定かでなかった箇所にあらためて気づくこともあった。


不良少年や劣等生のために書かれた人生録。
中学以来、それなりに優等生で過ごしてきた僕には
別の意味でずしりときたものだ。
人生はうらおもてなのだから。
学校の優等生は、人生の優等生とは限らない。



色川さんがこの連載を書いていたのは
ちょうどいまの僕の年齢だった。
初出のときは気づかなかった
書き手としての色川さんの気持ちが
いまでは少しは理解できる気がする。