小津安二郎シリーズその10『長屋紳士録』を観る。
こどもが三角くじで当てた新円2,000円を元手に
宴を張る長屋の面々。いつになく酒も上等だ。
みんなにせがまれて占いの男(笠智衆)が唄う
「のぞきからくり」のシーンがいい。
何度観ても愉快になる。和製ミュージカルのようだ。
僕は知らなかったが、「のぞきからくり」とは
関西の縁日でのぞき穴から見せ物を見せるとき、唄うものらしい。
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長屋のおばさん(飯田蝶子)も忘れられない。
父親とはぐれたか、捨てられたかした少年との距離を
徐々に縮めていき、別れのときに泣きじゃくる姿。
「こどもが欲しくなった」。
おばさんの台詞を受けて上野のシーンに変わる。
そこには、別れた少年のような連中がゴロゴロいる。
この終わり方もセンチメンタルでなくて、とてもいい。
家や親をなくしたこどもたちが
当たり前のようにいた時代だったんだなぁ、と思うのだ。
小津作品全10本。
家から一番近いレンタルDVDショップの小津DVDは
これで全部観てしまった。
さて、どうしようか。
全集を買うとなると結構高いからなぁ。
小津映画はなぜかクセになる。