花火の見えるビヤガーデン


CM制作会社のプロデューサーMさんから
神宮外苑花火大会の誘いを受ける。
Mさんは我らが秘湯会のゲスト会員である。



 (赤のエプロン姿の右から二人目。こちらを見ているのがMさん)


Mさんの会社の屋上ベランダからは、
神宮球場で打ち上げる花火がよく見える。
そのため真夏の一日、ベランダが
花火の見えるビヤガーデンに変身することになっているのだ。



神宮の花火はあたりの住宅に配慮して
打ち上げる高さに制約がある。
そのため、花火だけで言えば、
正直びっくりするようなものではない。
演出にもやや物足りなさが残る。



けれども、都心の真ん中で花火を楽しみながら、
ずいぶん会っていなかった知り合いと会話できるのは
なかなかいい時間なのだ。
なにより社員のみなさんが総出で
手づくりの料理と笑顔でもてなしてくれるのがうれしい。



Mさんはお好み焼きに一家言ある広島出身である。
毎週末には必ず家族でお好み焼きをやるほどこだわりを持っている。
昨年は花火パーティに300人のお客さんを迎え
80枚のお好み焼きを焼き、腱鞘炎になりかけた。
今年は「沖縄」をテーマにした料理でまとめたため、
裏方から解放されて僕らと一緒にせっせとビールを飲んでいた。



奇しくも64年前には広島に原爆が投下された日。
64年後の僕たちはベランダで花火を楽しむ。
命を奪う光と、人を慰める光。
光が次々と炸裂する中で、
こうした時間が簡単に得られた訳ではないことを思う。