家庭のご飯のようなあたたかな一膳


僕が銀座にやってきたときによくお世話になっているのが
東芝ビル地下にあるご飯屋さん「きっど」。
いつもここで腹ごしらえしているので
お向かいにあるもう一軒のご飯屋さん「SHIZU」は
気にはなりながらもほとんど行くことはなかった。



ふと気づくと貼り紙が残されており、
3月に店を閉じていたことを知った。
桜の枝の画が添えられた手書きの文字を読んでいると、
店と客がこの空間で幸福な信頼関係を結んでいたことがよく分かる。


  四十二年の歳月は
  ギンザの粋なお客様に励まされてきた
  感謝の日々でした。
  食材にこだわり健康を思い
  家庭のご飯のような
  あたたかな一膳でありたいと
  勤めて参りました。


   (SHIZU店主の挨拶の言葉より)



42年の歳月の記憶も
年月とともに薄れ消えてゆくのかなぁと思うと、
なんだか少し寂しくなる。
自分が通っていた店でもないのに不思議ですね。