音楽に引きずり込むサックス、包国充


同僚のジャズバンドが会社近くで演奏すると聞いて、
一週間の仕事を終えた金曜夜、とある地下室に入っていった。
3、40人入れば満員になる小ぶりのライブハウス。



マチュアとは言え、
同僚たちのバンドはまずまず聴衆を楽しませる力量だ。
一部と二部の間にバーボンソーダをお代わりする。
つまみは柿の種とピーナッツのみ。
元ミュージシャンの経営するライブハウスらしいストイックさだ。



二部にはメンバーたちの大学時代の先輩、
プロとして活躍中の包国充(かねくに みつる)がゲストで登場。
これが同じサックスなのかと思うくらい、
すべての音が華麗に流れ始めた。流水を見ているようだ。
観客を音楽の中にグイッと引きずり込んでゆく。
包国のオーラにあおられ、
他のメンバーたちも普段以上の力を出している。
いいセッションになってきた。


こちらが余裕を持って聴いているうちは、
音楽を味わっていると言っても、それなりなのだろう。
そこにいることを忘れさせ、時間を忘れさせる力。
それが音楽の力である。



それにしても、普段の仕事の顔とは別に
マチュアとして人前で音楽演奏できるのは、
大人にとって最高の趣味のひとつではないかと思う。