イッセー尾形のこれからの生活 2010 総決算 in クエスト


残るところ後三週間となった年の瀬、
原宿クエストホールにイッセー尾形を観に行く。
40代から60代くらいまでの観客でロビーはごった返している。
本日の演目は以下の通り。
題名は例によって僕が備忘録代わりに付けたもので
正式タイトルではない。



   1. 告白された女の子
   2. ジョージに似た男
   3. 三越に来た女
   4. 朝食バイキングをとる男
   5. 広告コピー教室の男
   6. 薪割り爺ちゃん
   7. 天草五郎(完結篇)
   8. ショータイムのひとみちゃん


たっぷり二時間半のひとり芝居。
開演前に社長の森田清子さんが
「きょうは明るい話よ」と言っていた通り、
なんだかニヤリとしたり、ホッとする新作揃いだった。



僕が一番好きだったのは、6番目の「薪割り爺ちゃん」。
老夫婦で山奥の田舎に住んでいて、
そこに子どもや孫がやってくる設定だ。
なにより素敵なのは、ぼけているようでちっとも聖人君子でない
爺ちゃんの姿だ。言行がまったく一致していない。


みみずを踏んだら、たたりで谷が霧に包まれる
と孫に説明した次の瞬間、孫を驚かせたみみずを踏んで殺してしまう。
孫にたしなめられると、さっき自分が言ったのは迷信だと受け流す。
ラストシーンで孫たちと別れると、あたりがとたんに霧に包まれる。
爺ちゃんは不安になるが、
「なに、霧でクルマが運転できなくなれば、
また孫たちは戻ってくるさ」とすぐに気を取り直す。



観客たちと一体となったクエストホールの時空間からし
生まれてこない芸がどうやらあるのだ。
後で映像で観ると、なにかが違うと感じる。
イッセーさんの舞台を観た後は、
なぜか少し気持ちが軽くなる。


(文中一部敬称略)