通夜とデンキブラン


すっかり冷え込んだ一日。
夕刻から出向元の先輩だった方の通夜に行く。
闘病生活を続けていたKさんは暮れに亡くなり、
新年を迎えることは叶わなかった。
このところ毎年一月になると知人友人の訃報が届く。
今年もそうなってしまった。
焼香を待つ行列に、冷たい風が吹きつけていた。




浅草の寺だったので、帰りに少し遠回りして「神谷バー」に寄る。
名物デンキブランはさほどうまいものではないが、
冷えた身体を温めるにはちょうどいい。
初老の男がテーブルの端でひとり、酒を飲んでいる。
その姿がなんとなく様になるのが「神谷バー」だ。



「女給さん」という言葉が似合いそうな制服の女性たちが
甲斐甲斐しく働いているのが気持ちいい。
ほろ酔いのうちに家に帰る。