ニューヨーク、築地、福島

ニューヨークで10年以上仕事をしている
友人nさんが帰国している。
nさんはかつて僕のチームにいた人である。
この数ヶ月の日本の様子は
メディアの報道だけではなんだか理解しがたい。
まずは自分の目で見てみようというのが
今回のnさんの帰国目的のひとつである。



nさんは9.11のときフィルムスクールに通っていた。
授業に行くときにあったワールドトレードセンターが
帰るときには無くなっていた経験を持つ。
週末には政府機関に勤める旧友と
福島を皮切りに被災地に出かける予定である。



その昔、僕たちの仕事場があった築地の、
ときどき仲間で出かける気楽な中華料理屋の二階で待ち合わせた。
夕暮れ時の築地は人の気配が濃密に残っていて懐かしい。
nさんの視点で僕たちのいまの暮らしや仕事ぶりを見ると
普段自分たちが理解している姿とは景色が少々違ってくる。
そのギャップを把握するのが面白い。



地震放射能も政局も、
情報の真ん中にずっといるとやがて麻痺して関心が薄れてくる。
思考停止が一番怖ろしいことだ。
そうこうしていると、僕たちのいる二階が揺れた。
また、余震か。
もうすぐ東日本大震災原子力発電所事故から3ヶ月。


wikipedia:en:September 11 Attacks