佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』(2010)


   革命の本体、それは文学なのです。
   暴力など、二次的な派生物に過ぎない。


            (本書腰巻より)



佐々木中(あたる)『切りとれ、あの祈る手を 
<本>と<革命>をめぐる五つの夜話』を読む。
同僚である先輩、後輩のふたりから熱心に勧められた。
全篇語りおろし、5夜10時間のインタビューである。



僕はこの世で一番面白いのは
「世界を読み解く」ことではないかと思っている。
無論、そんなことを完璧にやり遂げた人間などいない。
が、佐々木の論に耳を傾けていると、
この世には世界を読み解き、
書き換えるための<本>があるように思える。
そうした<本>を読み、己から自然にあふれ出すことを<書く>のが
<革命>である。なんだか、とても分かりやすい考えである。


宗教や歴史や藝術とはなんだろうという疑問にも
本書によって意外な角度からアプローチできる。


(文中敬称略)