「新子」で夏を記憶する


「さらば、夏休み」企画と銘打って、
副会長、同居人を誘いG鮨に足を運んだ。
この時期ならではの「新子」、
つまり小ぶりのコハダを食べに行くのだ。
もっとも今週夏休みを取っているのは僕だけである。
正確には「僕の夏休みよ、さらば」に二人を付き合わせたのだ。



秘湯会は夕餉の前に身を清めようと
G鮨そばの銭湯U湯に行く。
U湯は木枠で組み立てた四角の箱に備長炭を詰め湯舟に浮かべる。
プカリプカリ揺れる炭が湯を柔らかくする。
目の前には銭湯画の中島師が昨年9月に描いた赤富士がそびえる。
U湯は熱めの湯だから、この季節、湯上がりがさっぱりして心地よい。



「新子」はこの時期、二枚付け。
さばくのは一仕事だが、味わうのは一瞬である。
うまい。
昨夏はうっかり食べ損なっていたのだ。
三人で二貫ずつ二度に分けていただく。
計24匹の新子が我々の腹中におさまる。
三度目の注文は控えておいた。
他にも楽しみにしている客がいるに違いない。


僕の今夏の記憶に
本日の新子がすっぽりおさまった。