高峰秀子『にんげんのおへそ』(1998/2012文庫版)


高峰秀子『にんげんのおへそ』を読む。
名文家の誉れ高い女優が70代に書いた
最後の随筆三冊のうちの一冊。
テンポのいいキビキビした文章を愉しんだ。


にんげんのおへそ (新潮文庫)

にんげんのおへそ (新潮文庫)


文体は違うけれど向田邦子の文章を読むときのような
贅肉のなさ、伏線の張り方が小気味いい。
この女優の人生が主演した映画の物語以上に
起伏に富んだものであったことを知った。


しかしそれにしても最初にこの人の文章に目を止め
連載を書かせた編集者の慧眼には恐れ入る。
どの世界にも目利きがいるものだ。
2001年文春文庫。2012年新潮文庫


(文中敬称略)