消化器内科民族の小テントにて



僕が入院している四人部屋は
それぞれの空間がカーテンで仕切れるようになっている。
カーテンを引くと遊牧騎馬民族の小テントが四つ出現する。



日中は小テントを開け放てば
雲海が美しく都内が一望できる。
夕方には富士山の姿がくっきり見えた。
僕以外の三人は終日小テントを開けず内に籠もっている。
無理もない。僕が四人の中で一番症状の軽い患者なのだ。



内視鏡検査が終わって手術前検査・診療はほぼ終了。
明日いったん退院して二週間娑婆で過ごす。
二週間後に再入院して胆嚢切除の手術を受ける。
お腹を切られるのは生まれて初めてである。
放置しておけば胆嚢内の砂や細かい石が再度管に詰まって
いつなんどき発作を起こすか分からない。
そうなれば暮らしも仕事もあやうくなる。
初発作から二年半、潮時なのかもしれないなぁ
と、消化器内科民族の小テント内でひとりぽつねんと考える。



定期検診というのは案外役に立つものです。
僕も過去数年分のデータやメモが役立ち
今回の処置の迅速さにつながりました。
病院のサーバには無論データ(画像含む)が残っているでしょうが、
病院同士データを即座にやりとりしてもらえるとは限らない。
自分で保存できるものは保存しておき
診療の際に持参するのが確実です。
口頭だけで的確に医師に病状を説明するのは案外むつかしい。