岡田英弘『倭国ー東アジア世界の中で』を読む。
巻末倭国史年表で日本の建国周辺の年代を整理してみる。
661年 唐・新羅が百済を滅ぼす
663年 百済・倭が白村江で唐・新羅に破れる
667年 中大兄が都を大津に移す
668年 唐が高句麗を滅ぼす
天智天皇(中大兄)の即位(日本の建国)
『近江令』の制定 天皇号の初見
670年 倭国が名を更めて日本と号する
720年『日本書紀』の完成
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663年の白村江の敗北で
百済が唯一の大陸へのハブだった倭国は世界の孤児となった。
大国唐、その同盟国新羅にいつ攻められてもおかしくない危機に、
日本を建国し、天皇号を生む必然性があった。
政治の侵略は言語の侵略から始まる。
人工言語である日本語を倭に土着していた華僑を中心に創造し
大陸からの言語侵略を防ぐ必要に迫られた。
日本、日本人、日本語の特殊性を普段気軽に口にする。
けれども、それがいつ、どんな理由で始まり名付けられたか、
僕自身も深く考えてみる機会は
岡田の著書を読む以前にはほぼなかった。
現代世界でアメリカ、中国、ロシアを
もし同時に敵に回したら、どれほど怖ろしいか。
大陸の唐・新羅連合軍の強大さと
当時の倭国の非力の比較を想像してみる。
恐怖が人間集団の決断や行動の動機になることは
7世紀末も21世紀初頭も同じことなのだ。
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日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫)
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岡田の同テーマの著書
『倭国の時代』『日本史の誕生』との併読をおすすめする。
(文中敬称略)