かっとばせぃ、きぃくぅちぃ!


二週間ほど右後頭部に断続的に頭痛があったので
会社の3階にある健康管理センターに行った。
昨年夏、胆石で世話になったK先生が診てくれた。
あのときは、この先生の機転で即日入院できて事なきを得たのだ。
いちおう頭部MRIを撮っておいた方がよかろうということで
この日午後、八重洲にやってきた。



CTスキャン放射線MRIは磁気を使う。
「工事現場くらいの騒音ですよ」と検査直前に女医に言われ、
「ウソだろう……」と内心絶句。
検査自体は20分だったのか、30分だったのか。
ありとあらゆる不況音を確かに工事現場並みの音量で浴びせられる。
これならなにもなくたって頭痛にくらいはなるだろうと思ったが
時、既に遅かった。



頭部はもちろん、全身も固定され、
気分が悪くなったら押してくれと右手にコード付きブザーを渡される。
「もう、既にして気分は悪いわい!」と思う。
が、とりあえず行くとこまで行ってみるかと
日本人ならではの諦観も兼ね備えてしまっている。



あまりの不快な騒音の連続に、
そうだ、こないだ行った野球場を思い浮かべようと思った。
検査室と思うから不快なのだ。
スタンドの騒音だと思うことにしよう。



「かっとばせぇい、きぃくぅちぃ!」
繰り返し唱えてしのぐことに決めた。
気づいてみれば菊池は
スワローズではなくカープの選手だったから、
ヤクルトファンクラブの副会長が知ればムッとするに違いなかった。