エズラ・F・ヴォーゲル
『現代中国の父 訒小平』(上)を読む。
毛沢東の時代から現代中国へ。
その変遷の原動力となった訒小平に注目してきた。
ヴォーゲルが10年の歳月をかけ綿密な取材を元に完成した大著である。
- 作者: エズラ・F・ヴォーゲル,益尾知佐子,杉本孝
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2013/09/03
- メディア: 単行本
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原題が内容をより精確に表現している。
"Deng Xiaoping and the Transformation of China"
『訒小平と中国の変革』である。
ひとつの構造から別の構造に変化するのが
Transformationだから、まさにピタリ言い当てている。
ヴォーゲルと言えば、
1979年の著作『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が有名である。
その後、日本が経済停滞期に入るとともに、
著作自体も過去のものになったような気が僕はしていた。
ヴォーゲルは2000年、70歳の誕生日に
ハーバード大学での講義からの引退を決意した。
その後、取り組んだのが本書である。
ヴォーゲルは中国語で自ら関係者に取材する。
中国語だけではない。日本語も駆使するのだ。
知的巨人は世に存在するものだ。
本文内容の9%は削除されたものの、
2013年1月には中国でも出版され60万部が売れている。
大著であるものの、
益尾知佐子、杉本孝の翻訳もよく読みやすい。
毛沢東への直接批判を回避しつつ、
中国に資本主義を導入していく訒小平の政治力が上巻の見ものだ。
(文中敬称略)