佐々木健一『辞書になった男ーケンボー先生と山田先生』(2014)


佐々木健一『辞書になった男ーケンボー先生と山田先生』(2014) を読む。
昭和辞書史に輝く二人の巨星の物語である。



二人は1943年に三省堂『明解国語辞典』を世に送り出した。
その後、1972年1月9日、『新明解国語辞典』発刊パーティを境に、
決裂し、互いに異なる道を歩む。
同じ出版社から『三省堂国語辞典』『新明解国語辞典』が
誕生するきっかけになったのが1月9日だった。



三省堂国語辞典 第七版

三省堂国語辞典 第七版

新明解国語辞典 第七版

新明解国語辞典 第七版


二人に共通するのは主幹として
それぞれの辞書を、協力者はいたにせよ、ひとりで書き上げたことだ。
『基本古語辞典』を独力で編んだ小西甚一を 僕は思い浮かべる。
テレビ番組ディレクターとして見坊、山田の協業、決裂、矜持を追った
佐々木の初めての著書である。


基本古語辞典 新装版

基本古語辞典 新装版


こうした質の高い国語辞典を持つ国が
世界にいくつあるか、僕は知らない。
けれど、少なくとも、日本人と日本の文化にとっては
最良の国語辞典を複数持てたことは僥倖であったと思う。
佐々木の作ったドキュメンタリー番組
「ケンボー先生と山田先生〜辞書に人生を捧げた二人の男〜」を見てみたい。


明解物語

明解物語


(文中敬称略)