J.D.サリンジャー/村上春樹訳『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(2006)


J.D.サリンジャー/村上春樹
キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読む。
(ペーパーバック・エディション)
野崎孝訳で読んだのが中学生の時だったか、
あるいは高校に入ってからか。
都立T高校S先生のクラスで英文を読み、
僕は一発でイカれてしまった。
以来、J.D.サリンジャーは僕にとって特別の作家であり続けた。


キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)


40数年ぶりに村上訳で読みたくなり手にした。
初めて読んだときには16歳のホールデンにすっかり感情移入した。
いま新訳で再読すると、
16歳とまともに付き合うのは大変なんだなという感慨が混じる。
僕もそれだけ年を取った訳だ。



退学になったホールデンが両親に気付かれないように
夜中に家に戻りフィービーに逢いに行くシーンはいまでも圧巻だ。
村上訳ではp.273以降になる。
危うく道を踏み外しそうになるホールデンは、
フィービーとのやりとりで辛うじて日常に帰ってくる。



フィービーや、若くして亡くなったアリー、長兄のDB。
そうした家族との絆のようなものがホールデンをつなぎ止める。
著者の意向・契約で村上の解説が読めなかったのが心残りだ。
英文原作は1945年発表。
もう一度、読み直してみたい。


The Catcher in the Rye

The Catcher in the Rye


(文中敬称略)