チョコレートと塩せんべい


小説の執筆と翻訳は
チョコレートと塩せんべいの関係だと村上春樹は言った。
チョコレートを食べたら塩せんべいが食べたくなり、
その逆も真実だ。
自分にとって小説を書くことと翻訳することは
そのように両立していると村上は言う。
どれだけ書くことが好きなのだろうと思う。



その境地には到底至らぬとは言え、
今週はオンライン社内誌にカンヌのセミナーについて
2,000字ほどの原稿を書いた。
きょうはベイルートのクリエーティブ・ディレクターに
書いてもらったコラム原稿を翻訳している。
多くの読者の目に触れる翻訳の仕事を始めて1年半になる。
面白さと難しさが分かってきた頃だ。



業界紙に連載しているコラム「セカイメガネ-Global Perspectives」は
原稿の依頼から、最後の翻訳まで担当している。
書き直してもらうことも結構の割合であるから、
執筆者との信頼関係を築くことが大切だ。
頼みっぱなしでおしまいとはいかない。



草稿を書き、背景を調べ直し、推敲を重ねていくと、
執筆者と僕でジャズの即興演奏をしているような気持ちになってくる。
僕の指に執筆者の思考、感情の揺れが乗り移る。
その瞬間がたまらないのだ。


「デジタルノート」から「セカイメガネ」のリンクを貼っておきます。
2013年1月から14年6月まで
21回分の連載をお楽しみいただけます。


(文中敬称略)