水木しげる『劇画ヒットラー』(1990文庫版)


水木しげる『劇画ヒットラー』を読む。
ときどき寄る新宿の大書店BF文庫コーナーに平積みになっていて
表紙が気になり、パラパラ中身を眺めて購入した一冊だ。
オンライン書店も便利で愉しいけれど、
街の書店の偶然性も僕は大好きだ。
ふらり買った本が当たりだったりすると嬉しいもんだ。


劇画ヒットラー (ちくま文庫)

劇画ヒットラー (ちくま文庫)


しかし、なぜ水木がヒットラーなんだろう。
そうか、ヒットラーも妖怪なんだ。
劇画に登場するゲッペルスムッソリーニチャーチル
そう言えばみんな妖怪に見えてくる。
劇画だから就寝前の一冊にもふさわしい。
巻末にまとめた参考文献を縦横に活かし読み応えがある。



なぜ、ヒトラーナチスの狂気が1930年代から40年代にかけて
ヨーロッパを、ソビエトを、アメリカを、日本を席捲したか。
考え尽くせる課題ではないが、
ときどき僕はこうしてこの課題に帰ってくる。
ナチス滅亡以来、人類はどれほど賢明になったのか。


(文中敬称略)