福岡伸一『生物と無生物のあいだ』(2007)


本には読み頃というのが恐らくあって、
この本も2007年発売直後に買って積ん読だった。
福岡伸一生物と無生物のあいだ』を読む。


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)


生命とはなにか、という根源的な疑問を縦軸に、
謎に挑む科学者たちの挑戦を福岡自身の仕事を含め書き込んでいく。
著者の軽快な筆致にぐいぐいストーリーに引き込まれるが、
ときどき立ち止まって、待てよと考える。
科学的記述と情緒的記述が境界線なく混じり合っていて
ただ読んでいるには心地よいが、自分なりの検証の時間が必要だ。



野口英世アメリカでの評価。
DNAの構造解明にまつわる科学者同士の水面下の闘い。
随所に見逃せないトピックが盛り込まれる。
ウィキペディアによれば福岡にとって本書が単著4冊目。
これを越える本を書くのはなかなか難しいだろうな、
と一読者は余計な心配をしてしまう。



本書が65万部のロングセラーになっている現実は
日本人の読書力を示していると僕は思う。


wikipedia:福岡伸一


(文中敬称略)