出口治明『仕事に効く教養としての「世界史」』(2014)


世界史の教科書ではない。
ある保険会社CEOを務める出口が、
これまでに読んできた本、訪れた遺跡などの記憶を元に
歴史の流れの要点を書き留めた本だ。
出口治明『仕事に効く教養としての「世界史」』を読む。



要点は各章のタイトルになっている。
例えば、こうだ。


  神は、なぜ生まれたのか。なぜ宗教はできたのか
   ーキリスト教と仏教はいかにして誕生したのか
  ドイツ、フランス、イングランド
   ー三国は一緒に考えるとよくわかる
  アメリカとフランスの特異性
   ー人工国家と保守と革新
  アヘン戦争
   ー東洋の没落と西洋の勃興の分水嶺



どうしてだろう、と思う疑問に
出口は自分なりの仮説を立て答えていく。
歴史学者とは異なるアプローチが僕には面白かった。
出口に賛成するにせよ、反対するにせよ、
立ち止まって考えてみたい主題が並んでいることは間違いない。
本書があっという間にベストセラーリストに入ったところを見ると、
こうした視点を求める読者が多かったのか。



タイトルは気に入らない。
なんだかビジネスパーソン狙い撃ちのようで、
本書の持つ淡々とした歴史思考プロセスとは合っていない。
出版社が希望したのか。


聞き書きを担当したのは小野田隆雄。
「恋は遠い日の花火ではない」などの名作コピーを生んだ
日本を代表するコピーライター。


(文中敬称略)